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相続税の計算方法


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 相続税の計算は複雑な計算方法により決定されます。相続税の場合は単純に遺産の額が○○円なので相続税額は××円というわけにはいきません。遺産を誰が引き継ぐかによって小規模宅地の評価減の金額は変わってしまいますし、配偶者がどれだけ遺産を引き継ぐかによっても税額は大きく変わってしまいます。

相続税額の計算過程
(例)
夫が死亡、遺族は妻、長男、次男(23歳:3級の障害者手帳を保有)、三男(16歳)
長男は2年前に住宅取得資金の贈与を父親から受けています。
STEP1
まず、財産と債務を計算します。この財産の金額の計算にあたっては相続税の財産評価通達を基本に計算します。
なお、3年以内に相続人が被相続人から受けた贈与財産についても被相続人の財産に加えなければなりません。
STEP2
借金などの債務や葬式費用などを控除した額が相続税の「課税財産」となります。
STEP3
小規模宅地の減額等の規定の適用があればその適用後の金額から相続税の基礎控除額を控除します。
基礎控除額は
5千万円+1千万円×法定相続人の人数
です。設例では8千万円となります。
STEP4
基礎控除減額後の金額を相続人の法定相続分に従って分割して、それぞれの法定相続分に対する財産額に相続税率表に基づき税額を計算します。
(実際に法定相続分により遺産分割が行われていない場合でも法定相続分により計算します。これは客観的な方法により課税を行い、租税回避を防止するためです。)

妻 :(相続税の課税標準×1/2)×税率=妻の分の税額
長男:(相続税の課税標準×1/2×1/3)×税率=長男の分の税額
次男:(相続税の課税標準×1/2×1/3)×税率=次男の分の税額
三男:(相続税の課税標準×1/2×1/3)×税率=三男の分の税額

すべてを合計したものが相続税の総額となります。
STEP5
法定相続分に基づき計算した税額を一度合計します。
STEP6
今度は法定相続分ではなく、実際に各相続人が取得した財産の金額に基づいて各相続人の相続税額を計算します。
妻:相続税の総額×妻が取得した財産/すべての相続財産=妻の分の相続税額
長男:相続税の総額×長男が取得した財産/すべての相続財産=長男の分の相続税額
次男:相続税の総額×次男が取得した財産/すべての相続財産=次男の分の相続税額
三男:相続税の総額×三男が取得した財産/すべての相続財産=三男の分の相続税額
STEP7
相続財産に加算された3年以内の贈与財産についてはその分の贈与税額を控除することができます。長男は2年前に住宅取得資金の贈与を受け贈与税を支払っていましたので、その贈与税額が控除されます。
STEP8
配偶者については亡くなった方の財産形成に多大な影響を受けていること、配偶者亡き後の生活の保障として大幅な税額の軽減が認められています。
(遺産分割協議が整っている場合に適用できます。)
配偶者控除(配偶者の税額軽減制度)を最大限に利用すれば1億6千万円までの財産または配偶者の法定相続分の財産には相続税がかかりません。しかし、配偶者が死亡した際に再び相続税が課税される可能性もでてきますので注意が必要です。
(通常の場合は残された配偶者の死亡時には配偶者控除の適用はありません)
STEP9
未成年控除は遺族の年齢が20歳未満のとき、障害者控除は遺族が70歳未満の障害者の場合に適用があります。いずれも1年あたり6万円の控除額があります。(特別障害者の場合は12万円)
設例では
次男は障害者として
6万円×(70歳-23歳)=282万円、
三男は未成年者として
6万円×(20歳-16歳)=24万円
の控除が認められます。
相続税の控除には、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、障害者控除や未成年者控除のほか「相次相続控除」や「外国税額控除」などがあります。「相次相続控除」は亡くなった方が過去10年以内に親などの相続により財産を取得し、相続税を支払っている場合に適用され、「外国税額控除」は外国で相続税に相当する税金を支払っている場合に適用されます。
LAST
これで相続税の計算は終わりです。
これらの税金を各自が納付することになります。

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