記載金額について

印紙の課税物件表をみると記載金額ごとに印紙税額が定められている種類のものがありますが、その場合の「記載金額」とはいったいどの金額をいうのでしょうか?

消費税額を含めるのか否か?

 記載金額がもっとも問題になるのは消費税額を含めるかどうかという事です。
 この場合については規定があり、消費税を区分して表示している場合には消費税額を除いた金額が記載金額です。
 区分して表示していない場合には消費税額を含んだ金額が記載金額とされていて、記載金額の100/105を税抜き金額とするように、逆算によって消費税額を除いた金額で判断してはならない事とされています。

例 
 記載金額を1,000万円とするケース  
  (1) 受領金額 1,000万円 消費税等   50万円  計 1,050万円
  (2) 受領金額 1,050万円 うち消費税等 50万円
 記載金額を1,050万円とするケース
  (3) 受領金額 1,050万円 (注:消費税等を含む。)

なお、手形や債権譲渡又は債務引受に関する契約書についてはその総額において記載金額を判断することになります。

源泉徴収額を含めるのか否か?
 税理士や弁護士、経営コンサルタントに報酬を支払う場合には本来の支払金額から源泉徴収税額を控除して支払う事とされています。税理士や弁護士などに対する報酬についての金銭の受取書は「営業に関しないもの」として印紙税では非課税なので通常問題とならなる事は多くはないのですが、規定においては受取書等の記載金額のうちに、源泉徴収税金額を含む場合において、その源泉徴収額が区分して記載されているときは、全体の記載金額からその源泉徴収額を控除したのちの金額を記載金額とする事とされています。区分されていない全額が記載されている場合には源泉徴収額を含んだ金額が記載金額とされます。

そのほか、記載金額については印紙税法の通達に次の様な規定があります。

不動産等の譲渡に関する契約書及び債権の譲渡契約書(第1号、第15号文書)

売買の場合は「売買金額」が記載金額になります。この場合例えば時価1千万の土地を5百万円で売買する場合は500万円に対する印紙を貼ることになります。

交換の場合はどうでしょうか?この場合には「交換金額」が記載金額となります。
同じ価値の物である場合にはあまり問題ないのですが、例えばAさんの土地が1千万、Bさんの土地が8百万という場合に土地を交換するとともに、BさんがAさんに2百万の金額(交換差金)を支払うというケースについて考えてみます。
(1)Aさん所有価額1千万円の土地とBさん所有価額8百万円の土地を交換し、Aさんに交換差金2百万円を支払うと記載
  この場合には「高い金額」すなわち1千万円に対する印紙を貼ることになります。
(2)Aさん所有の土地とBさん所有の土地を交換し、Aさんに交換差金2百万円を支払うと記載(土地の価額は記載しない)
  この場合には「交換差金の金額」すなわち2百万円に対する印紙を貼ることになります。
BAさん所有の土地とBサン所有の土地を交換し、Aさんに交換差金を支払うと記載(土地交換差金とも価額は記載しない)
  この場合には金額の記載がない場合には記載金額がない文書となり、2百円の印紙を貼ることになります。

その他、代物弁済の場合→代物弁済により消滅する債務の金額、法人等に対する現物出資の場合→出資金額、その他の場合は譲渡の対価たる金額が記載金額です。
なお、贈与契約においては、譲渡の対価たる金額がありませんので、契約金額はないものとして取扱います。

土地の賃借権の設定等についての契約書(第1号文書)
 土地の賃借権の設定等の契約書の場合は、権利金その他名称を問わず後日返還されない金額が記載金額となります。なお、賃貸料に関する部分については課税文書に該当しないので記載金額には含みません。

消費貸借契約書(第1号文書)
 消費貸借に関する記載金額は、消費貸借金額です。なお、利息は含まれません。

運送契約書(第1号文書)
 運送契約書については、運送料が記載金額となります。

請負に関する契約書(第2号文書)は、請負金額です。
 請負に関する契約書についての記載金額は、請負金額です

債務引受契約書(第15号文書)についてですが、この文書の記載金額は、引き受 ける債務の金額です。
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