印紙のいらない文書

印紙の必要な文書は印紙税法の「課税物件表」(印紙税額一覧表)に載っている文書ですから、印紙のいらない文書とは一覧表に載っていない文書と一覧表に「非課税」と載っている文書です。

営業に関しないもの

印紙税額一覧表に非課税と記載されているのはそのほとんどが記載金額が一定額未満のものですが、その中で「売上げ代金にかかる金銭又は有価証券の受取書」「売上げ代金以外の金銭又は有価証券の受取書」(17号文書)のうち「営業に関しないもの」という項目があります。

この「営業に関しないもの」というのはたとえばサラリーマンが自分の土地や家・自動車などを売却したような場合です。こうした場合は営利を目的として反復継続して行うものではないので当然非課税となります。
なお、「営業に関しないもの」とに関しての印紙税法での取扱は次のようになっています。

「営業というのは、一般に、営利を目的として同種の行為を反復継続して行なうこととされており、おおむね次のように取り扱うこととされています。
1 株式会社等の営利法人の行為は、株式払込金領収書等、資本取引に関するものを除いて営業になります。
2 財団法人等の公益法人の行為は、すべて営業になりません。
3 協同組合等の中間法人の行為は、出資者以外の者との行為は営業になり、それ以外は営業になりません。
4 人格のない社団の行為は、次のようになっています。
 公益及び会員相互間の親睦等の非営利事業を目的として設立されている場合には営業になりません。
 その他の人格のない社団が作成する受取書で、収益事業に関して作成するものは、営業になります。
5 個人の場合、その人が自己の名をもって事業などを行っているために「商人」とされているときは、その事業などに伴うものは営業になり、事業を離れた私的日常生活に関するものは営業になりません。
なお、店舗その他これらに類する設備を有しない農業、林業又は漁業に従事する者が、自己の生産物の販売に関して作成する受取書、医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等、弁護士、弁理士、公認会計士、経理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、一般に営業に当たらないとされていますので、これらの行為に関して作成される受取書は営業に関しない受取書として取り扱われます。」

なお、この規定はあくまで領収書などについて適用される規定です。契約書などを締結する場合には、個人間の取引においても印紙税を負担しなければなりませんのでご注意ください。

相殺の領収書
 その他、誤りやすい事例として売掛金等と買掛金等とを相殺する場合における領収書等の扱いです。この相殺の場合は「領収書」と表示した文書であっても、「相殺による旨」を明示しているものについては、印紙税の負担はありません。
  また、領収書の形式によっては領収金額の内訳を明示している領収書があります。この場合には合計額が別途記載されいる場合であっても「相殺」であることが明らかな場合には記載金額として取り扱わないものとされていますので、印紙税の記載金額の判断においては「相殺分」の金額を控除して判断することができます。
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