印紙の必要な文書

 印紙が必要な文書とは、簡単に言ってしまえば印紙税法の「課税物件表」(印紙税額一覧表)に載っている文書です。
この「課税物件表」には1号から20号まで20種類の文書が記載されていますが、これらの判断はなかなか難しいものです。しかし、実際には会社の業務の中では定型的な業務が多いので課税文書であるか否かを正しく判断すれば後は記載金額によって印紙税額をそのつど判断していけば、ほとんどの場合は問題なく済んでしまっているのが多いのではないでしょうか?
ここでは一般的な判断の基準を説明いたします。

「文書のタイトルではなく、内容で判断する」
 課税物件表にはいくつかの文書の例示が記載されています。「不動産売買契約書」は当然印紙を貼らなければならない文書ですが、「不動産の売買に関する覚書」となっていた場合はどうでしょうか?この場合には「覚書」となっていても実際には売買に関する契約に関する事項を双方で確認して合意している事を証明する書類ですから、内容的には「不動産売買契約書」と同じです。従ってやはり印紙を貼らなければなりません。同様に「念書」や「確認書」、「仮契約書」あるいはタイトルの記載がない場合であってもやはり印紙は貼らなければなりません。また、請求書などに「受領」というハンコを押すケースがありますがこのような場合も領収書を発行した場合と同じ効果を持つものですから、ハンコを押した時点で印紙を貼る必要があります。

「文書の当事者の関係はどうか・・人格の存在」
会社・従業員間の取引
印紙は自分が自分に対して作成する物、たとえば、メモや校正段階の書類などについては印紙税を負担する必要はありません。これは会社などの法人についても同様です。したがって、会社の内部文書については負担する必要はないことになります。
 会社が従業員に金銭を貸すような場合には「借用証書」などを作成しますが、会社と従業員という関係は会社内の取引であると考えることができます。会社内の文書であれば印紙を貼る必要はありませんが、この場合は「会社」と「従業員」の関係は独立した会社(法人いう人格)と従業員という外部の人格に移す行為と考えられ印紙を貼る必要があります。親会社、子会社間の取引もそれぞれ別の法人格を持っているわけですから印紙を貼る必要があります。ただし、本社、支店間の取引などについては、ひとつの会社という人格内の取引なので印紙を貼る必要はありません。
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